TOWADA STONE — THE TRANQUIL BLUE FROM AKITA
十和田石は、秋田県大館市比内町の薬師山だけで産出される、青みを帯びた緑灰色の凝灰岩です。乾いているときは落ち着いた青緑色ですが、水に濡れると深いコバルトブルーからエメラルドグリーンへと表情を変えます。1000万年前の海底火山が生んだ石。
酸化しなかった鉄が、「青」を閉じ込めた石。
湯を張ると、静かなエメラルドグリーンへと変わる石。
世界でただ一か所、秋田の山から掘り出される石。
この特集では、十和田石の誕生から、温泉・旅館文化との深い関わり、そして現代建築へ広がる新しい可能性までを、全3話で紹介します。 この特集でわかること
・十和田石とはどんな石なのか
・なぜ独特の青色が生まれたのか
・世界で唯一の産地・秋田県大館市比内町
・水に濡れても滑りにくい理由
・温泉・旅館文化との深い結びつき
・「魔法の石」と呼ばれる機能性
・建築・インテリア・農業へ広がる新しい用途
十和田石 全3話
第82話〜第84話 | 所要時間:約7〜10分
十和田石と、やすらぎの青
世界でただ一か所の石 1000万年前の海底火山が作った緑色凝灰岩(グリーンタフ)。海底の無酸素環境で鉄が酸化されずに固まったことが、あの独特の青を生みました。
世界でただ一か所、秋田県大館市比内町の薬師山から、年間わずか3000トンだけ掘り出される希少な石。大谷石と対をなす、もうひとつの日本の凝灰岩の物語です。

十和田石と、湯けむりの中の青——温泉・旅館文化と「滑らない」理由 水に濡れても表面に水膜ができず、滑らない。多孔質ゆえに冷たくもない。湯を張るとエメラルドグリーンに変わる石が、なぜ日本の温泉・旅館文化に選ばれ、そして住宅の浴室へと広がったのか。乾湿の繰り返しに弱いという弱点にも、正直に向き合います。

十和田石と、青い石の未来
ニューヨークの148億円のアパートから、秋田の田んぼまで ニューヨークの超富裕層の浴室から、東京藝術大学の音響壁、比内地鶏の土地の農業資材まで。年間3000トンの小さな産地の石が、「温泉旅館の浴室」という枠を超えて広がっていく。廃材ゼロの完全循環型石材としての、青い石の未来を描きます。

その石は今日も秋田の山で静かに眠り、掘り出されるたびに温泉や建築、人々の暮らしへと受け継がれています。
「やすらぎの青」をめぐる3話の物語です。