ローマを支えた石。
パリで雨に洗われるたび白さを増す石。
トルコでは、今この瞬間も新しい石が育ち続けている石。
一つの生成メカニズムから、これほど多様な歴史を生んだ石は多くありません。
この特集では、「温泉が石になる」という現象から始まり、ローマ、ティヴォリ、パムッカレ、ロサンゼルス、パリ、そして世界市場へと続く、トラバーチンの二千年と十二万年の物語を全9話でたどります。 この特集でわかること
・トラバーチンは、どのように温泉から生まれるのか
・「トラバーチン」という名前の由来
・ローマが二千年にわたりこの石を使い続けた理由
・ベルニーニが採石場へ注文を送った意外な方法
・パムッカレで今も石が生まれ続けている理由
・ゲッティセンターがトラバーチンを選んだ理由
・サクレ・クール寺院が雨のたびに白くなる理由
・トルコが世界最大級のトラバーチン産地になった背景
・トラバーチンが約12万年分の気候変動を記録していること
トラバーチン全9話
第102話〜第110話 | 所要時間:約35〜45分
温泉が石を作る
トラバーチンとは何か。
温泉水に溶けた炭酸カルシウムが地表で析出し、石になるまでを解説する、シリーズの出発点。

ティヴォリと、名前の生まれた場所
「トラバーチン」という名前は、ローマ近郊ティヴォリの古名「ティブル」から生まれた。
石の名そのものが、産地の名だった。

ローマは、なぜトラバーチンでできているのか
コロッセオ、パンテオン、サン・ピエトロ。
なぜローマは二千年間、この石を使い続けてきたのか。
都市を支えた「骨」の物語。

ベルニーニの伝書鳩
サン・ピエトロ広場の列柱廊。
その石を選ぶため、ベルニーニはティヴォリの採石場へ通い、伝書鳩で注文を送っていた。
石と建築家を結んだ、一羽の鳩の物語。

パムッカレと、今も石が生まれる場所
「綿の城」と呼ばれる白い石灰棚。
都市は滅んでも、石だけは今も毎年少しずつ育ち続けている。

ゲッティセンターの丘
ロサンゼルスの丘に建つ美術館。
ローマを支えた石は、二千年後、現代建築の象徴にも選ばれた。

サクレ・クールと、雨で白くなる石
パリの白い聖堂は、雨が降るたびに白さを取り戻す。
水が作り、水が洗い、水が再び白くする石。

トルコの逆襲
1990年代。
ティヴォリの石だけだった世界市場へ、トルコ・デニズリのトラバーチンが挑んだ。
世界の勢力図を書き換えた石の物語。

石が刻む、12万年の気候
トラバーチンは建材である前に、地球の記録媒体だった。
一本の石柱には、最終間氷期から現在まで、およそ十二万年の気候変動が刻まれている。

この特集より前に書かれた、トラバーチンにまつわる回です。
トラバーチンの物語は、この特集から始まったわけではありません。 ローマの建築や色石の物語の中にも、この石はたびたび姿を現してきました。第6話
コロッセオのトラバーチン
コロッセオから剥がされ、ローマ中へ運ばれていった石の運命。
第48話
イランのレッド・トラバーチン
イタリアともトルコとも異なる、赤いトラバーチンの物語。
トラバーチンについて詳しく見る
▶ トラバーチンとはどんな石か(いしらべ)
トラバーチンの特徴、成り立ち、代表的な産地や用途を詳しく紹介しています。
▶ トラバーチン・ロマーノを見る(建材ネット)
ローマ建築を支えてきた、ティヴォリ産トラバーチンの商品ページです。
▶ トラバーチンの商品一覧を見る(建材ネット)
トルコ産を含む、トラバーチンの商品をまとめてご覧いただけます。
終わりに
温泉が石を生み、
石は都市を支え、
皇帝や建築家に選ばれ、
ときに剥がされ、
そして今も、どこかで新しい石が育ち続けている。
トラバーチンとは、完成した石ではなく、今なお続いている物語なのである。